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うまみもチカラも詰まったしじみ
梅雨明けにあたる小暑は、その名のとおり本格的な夏の暑さを実感しはじめるころ。
節気が始まる初候を彩るのは、七夕や、浅草寺での「ほうずき市」といった色鮮やかな楽しい行事。魚の「こち」にゴーヤ、とうがん、へちまなどの夏野菜が出そろってきます。やがて次候になれば、カレイやトウモロコシが旬となり、野山はもちろん街中でもアゲハチョウがよく見かけられるように。
また、この節気の終わりとなる末候は、ちょうど夏の「土用入り」にあたるころ。土用うなぎをはじめ、土用しじみ、土用餅、土用卵といわれるように、昔から精のつくものが食べられてきました。また、伝統的な食材ではありませんが、モロヘイヤも旬を迎えます。
こうしたなかでも注目したい、小暑が旬の食材は「しじみ」です。うまみのあるコハク酸が貝類の中でもとくに多く含まれ、良いだし汁がとれるため、汁ものの具として最適。小さな身にはカルシウムや鉄分・ビタミンなどが詰まっており、肝臓をいたわるはたらきが知られています。こうした栄養の豊富さにより、昔から夏の疲れをいやす食べ物として親しまれてきました。
「う」のつく食材で、元気を取り戻す
さらに、この頃のからだを元気づけるために好まれてきたのが、「土用のうなぎ」に代表される、栄養価の高い食べ物です。
うなぎを筆頭に、土用の日に食べると良いとされる「う」のつくもの…うり、うどん、烏骨鶏などは、いずれも消化しやすくて栄養たっぷり。また、この時期に感じやすい、胃腸の不調からくる貧血などには、クコの実やなつめ、ひじき、ホウレンソウ、レバーといった血を補うはたらきのある食材がおすすめ。
一方で、「暑くて食欲がすすまない」と感じられる方も口にしやすいのが、そうめんです。氷水とともにガラスの器に盛りつければ、見た目にも涼しく、こころの暑さも和らぎます。
夏全体を代表する味覚ですが、地域によっては七夕に食べるという風習が。そうめんを糸に見立てて、裁縫の技術が上達するようにと願いをかけたりするそうです。
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