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秋といえども酷暑に注意
立秋は、ことしの暦で8月7日~8月22日にあたります。
「秋が立つ」とはいえ、まだ暑い盛り。じつは、太陽の黄経(天球上の位置)が135度となるこの頃が、酷暑の本番ともいわれます。とはいえ、時おり吹く涼風にこころを和ませられたり、すこしずつ変わる虫の音色や草花の種類に秋のきざしを見つけたり、といった喜びも。ちなみに立秋以降の暑さは、夏の“名残り”ということで“残暑”と呼ばれます。
さて、そんな立秋の行事といえば、お盆です。正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、亡くなったご先祖さまが返ってくる期間とされています。地域によって多少異なりますが、一般的には13日頃が「盆の入り」「迎え盆」と呼ばれるお盆の初日。それから4日間、ともに家で過ごしたご先祖さまを、16日頃に送り出します。
最近はめっきり少なくなりましたが、各家庭に飾られる盆棚のお供え物や、習わしのひとつひとつにも大切な意味が。たとえば、結界として張った笹竹や縄に吊りさげる、ほおずきやそうめん。ほおずきは、盆提灯にかたちが似ていることから、ご先祖さまが戻ってくるときの目印。そうめんは、帰りに荷物を結ぶ紐代わりだとされています。
また、きゅうりやなすに爪楊枝の足をつけた「精霊馬」にも、きゅうりの馬で「早くこの世に戻れますように」、なすの牛で「ゆっくりあの世に帰れますように」という願いが込められています。同じように、13日の夕方に焚く「迎え火」は「ご先祖さまが戻ってくる家を間違えないように」、16日の「送り火」は「迷わずに帰っていけるように」と焚くもの。家の軒先や盆棚の前に飾る盆提灯も、迎え火や送り火と同じ役割をしています。
お盆の準備で、心にも秋じたく
個人のお宅ではあまり見かけなくなったお盆の準備ですが、年中行事としてそれぞれの地域に根づいているものも多くあります。
そのひとつが、お盆が終わる8月15日の夜、戻ってきた先祖の霊や供物を船に乗せて川や海に返す「精霊流し」。その船に灯りをつけたりすることから、「灯篭流し」とも呼ばれます。この同じ日に京都でとり行われるのが、かがり火で山々に船の字や鳥居のかたちを描く「五山の送り火」。ほかにも全国各地で、鎮魂のための花火大会などが催されます。
ご先祖さまを敬うお盆の行事は、日本ならではの死生観や自然観にふれられる大切な機会です。ぜひ、それぞれのライフスタイルにあったかたちで、わが家らしいお盆を迎えて、やがて訪れる秋への心づもりをしてみませんか。
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