Yojo Column

YOJO知恵袋

Yojocolumn hakuro3

白露/
山薬で寒暖差をのりきる

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

さまざまなはたらきを秘めた山芋

 白露にあたるのは、ことしの9月8日~9月22日。日中は暑さが残るものの、朝夕にはしだいに涼しい風が吹くころです。

 その温度差で大気が冷えて、草の葉先に露が結ばれる様子から、「白露」と呼ばれるようになりました。こうした寒暖差はひとのからだにもこたえるので、体調の変化や、心の不安定さが気になる時期でもあります。心の不調はとくに免疫ともつながりがあるようなので、免疫に関わる感染症や肌トラブルなどにはご用心を。朝晩の冷えで風邪などを引かないように、また、免疫力の低下でアレルギー系の鼻や肌のトラブルが起こらないように、日頃から心とからだのケアに努めましょう。「心身一如」と呼ばれるように、東洋医学において心と身体はひとつ。だからこそ、まずはからだの調子を整えることが大切だとされています。

 そこで強い味方となってくれそうな旬の食材が、山芋。「山薬」と呼ばれるほど、さまざまな健康の力があるとされており、加齢によるからだの衰えを補う滋養強壮もそのひとつ。ほかにも、呼吸や睡眠のトラブル対策、お肌のハリに関わるはたらきが知られています。ちなみに、気持ちが落ち込みがちな白露のストレス発散におすすめの唐辛子ですが、血のめぐりを促すことから、発汗や炎症が気になる方には向かない一面も。また、摂りすぎると粘膜などを傷つけ、老化を早めることにつながるという指摘も。スパイシーさで気持ちをスッキリさせるにしても、ぜひ適量を心がけましょう。

からだにも美味しい秋ナス

 もうひとつ、この時期に楽しみな味覚のひとつに、なすがあります。「秋ナスは嫁に食わすな」の諺は、「美味しいナスを嫁に食べさせるのはもったいない」という意味のほかに、「美味しいから食べすぎてからだを冷やさないように」という解釈もあるとか。いずれにしても、身がしまるにつれて甘みやコクが増してくる秋ナスの美味しさを、昔のひとはよく知っていました。

 さらに現代になって、健康面におけるメリットもより詳しく解明。たとえばナスニンというポリフェノールは、抗酸化のはたらきで、活性酸素をとりのぞいたり、細胞の老化を防いだり、悪玉コレステロールを減らしたりすると期待されています。

 朝晩の寒暖差が大きくなるにつれ、体調管理が難しくなる白露のころ。風邪やアレルギーに負けないからだをつくるためにも、秋の味覚と休養をたっぷりとって、元気に新たな季節を迎えてください。