Yojo Column

YOJO知恵袋

Yojocolumn kanro1

寒露/
心を鎮める秋の夜長

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

秋の夜に楽しむお香

 寒露は10月8日~10月22日の時期で、露が冷たく感じる時期を指します。空気が澄み、夜空にさえざえと月が明るむとともに、秋の夜長に虫の声が大きく響きわたるのを聞くとそろそろ秋の終わりを感じます。
 なお、この時期は実りの季節でもあることから、今までの成果がようやく実を結び、周りからも注目されることで、何事にも充実感を感じます。一種の高揚感や幸福感を感じ、とても気分が良い状態です。そのため、何事にもやる気がみなぎるでしょう。この時期にこそ運動や読書などで自己啓発を進め、冬に向けて心も身体も鍛え、冬の季節の準備を整えましょう。

 特にこの時期は朝夕が涼しくなり、夜の時間が長くなってきていることから、秋の夜長を楽しむための工夫をしてもよいかもしれません。特に、心地よい秋の夜はリラックスすることが大切。例えばお香は、消臭・虫よけ・ストレス軽減・安眠など様々な効果が期待できます。お香は香りに着目されがちですが、お香にともる火の動きを見つめるだけでも、安心感を与えてリラックスできます。

 このように、お香は多角的な視点から、自律神経やホルモン分泌などを整えて、リラックス効果だけでなく、安眠を誘発してくれるのです。なお、お香には様々な種類がありますが、樹脂系の香りには心を落ち着けたり、精神を統一させてくれる作用があるのでお勧めです。

しっかり熟睡で体をリフレッシュ

 一方、ろうそくの火や竹細工な出で作られた間接照明は、部屋を程よい程度の明るさにしてくれ、秋の熟睡を演出する大切なものです。睡眠に関係するメラトニンという睡眠ホルモンは、夜になると急速に増加し、体温や血圧を下げて心地よい、そして質の良い眠りを誘発・持続させてくれますが、メラトニンは、日光や照明などの「光」を網膜が感知すると減少するため、わずかな光でも浴びている時間が長ければ分泌が抑制されてしまいます。
 特に、メラトニンは入眠から3時間後に分泌のピークを迎えるため、照明をつけたまま寝ると睡眠の質が下がり、翌朝起きた時も疲れが残ってしまうため、このような間接照明を応用するのがお勧めです。

 寒露は、秋から冬へと本格的に移り変わる季節です。
 この時期は今年1年頑張ってきた成果をかみしめながらも、来年度に向けて心も身体もリフレッシュさせる大切な時期です。何をするにも身体が資本です。そのため、身体のメンテナンスをしておきましょう。