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立秋 /
果実や瓜で心身ととのう

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

からだもよろこぶ甘い梨と桃

 立秋は、心身を整えるのが難しいときです。
 「日中はすこぶる暑いのに、朝晩は涼しい」といったように1日の温度差が大きいので、身体のほうもひんぱんに体温を調節しなければなりません。そのことが自律神経のはたらきに影響して、夏なのに冷房などで冷えすぎ、お腹の不調を感じたり、食欲不振が気になったりすることも。夏バテや夏風邪にも十分に注意したい時期だけに、旬の食材をとりいれて、身体を整えるように努めましょう。

 立秋が旬の食材といえば、梨と桃があげられます。どちらも甘みの強い果物ですが、この甘みには疲れを癒し、お腹の調子を整えるちからがあるとされています。

 また、梨に含まれるカテキンは、コレステロールや糖の吸収をおだやかにするほか、抗菌や殺菌のはたらきでも知られています。さらに、疲労回復によいとされるクエン酸や、利尿のためにはたらくというアスパラギン酸なども。一方の桃には、腸のためになるペクチン、体内の水分調節にはたらくカリウム、ストレス対策のビタミンC、抗酸化のビタミンEなど、暑さからくる疲れや不調に頼もしい成分が含まれています。

水分の調整に、瓜のちから

 ちなみに、ちょっと意外なおすすめの旬食材として、冬瓜(とうがん)があります。
 名前から冬の食べ物かと思われがちですが、暑い季節に収穫されて冬まで日持ちすることから、秋の季語ともなっています。大きな実には、からだの熱をとる、利尿をうながすなど、デトックスに期待できる、この季節にうれしい成分がたっぷり。とろりとした食感は冷製スープにもぴったりで、食欲のないときにも爽やかにいただけます。

 暑さや温度差がこたえる時期だからこそ、しっかりと旬の果実や野菜でパワーをつけることが大切。そして、こまめに水分をとって熱中症に気をつける一方で、からだの冷えすぎにつながらないよう、利尿のはたらきがある食材も積極的にとりいれましょう。