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小満/
めぐるからだに癒しを

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

めぐりに気をつけ、赤じそを活用

夏が始まり、あらゆる活動が盛んになる小満。
エネルギーの代謝が活発になり、勢いを増した血のめぐりが、心臓に負担をかけることもありえます。すこし意外かもしれませんが、東洋医学では「笑いすぎ」も心臓への負担になると考えられているので、気になる方はどうぞご用心を。

血のめぐりは、血圧の変化と深く関わります。その結果、軽い肩こりから、めまいや立ちくらみ、ふわふわと地に足が地につかない感覚、動悸や息切れまで感じる方がおられるかもしれません。こうした血圧の変化は、「左肩のこり」から始まることが多いそうです。
肩の違和感が気になるようなら、定期的に血圧を測ってみるのもよいでしょう。一般的に高血圧の目安とされているのは、140/90mmHg以上(家庭で測る場合は135/85mmHg)。日中の活動時は変化が大きいため、早朝と就寝前の測定が推奨されています。

さて、この小満が旬の食材は「赤じそ」。春分のコラムでもご紹介したように、年間を通じて出回っている「青じそ」に対して、「赤じそ」は夏の2か月間ほどしか収穫できず、旬の短さが特徴です。薬味はもちろん「しそジュース」にしてもおいしく、身体を温めるはたらきがあるので、夏場の冷え対策におすすめです。
また、からだにうれしい成分も充実。カロテノイドの一種であるβ-カロテンは、皮膚や粘膜をすこやかに保ち、活性酸素を抑制する抗酸化のために。シソニンと呼ばれるアントシアニン色素は、見えやすさをサポートするためにはたらくとされています。
さらに、しそ100gあたり500mgも含まれているカリウムは、ナトリウム(塩分)を体外に排出することから、塩分の摂り過ぎによるむくみの対策に。ポリフェノールの一種であるロスマリン酸は、アレルギー反応や炎症のもとを抑えることがわかっており、かゆみや炎症、鼻炎などを和らげることに期待が。このようにさまざまな力を秘めた「赤じそ」は、平安時代から重宝され、いまも薬酒などに使われています。

ジュースや緑茶でおだやかに

そして、この時期とくに注意したいのが、アルコールやカフェインの摂りすぎです。少量であれば差し支えありませんが、アルコールやカフェインの過剰な摂取は、交感神経を刺激して心臓の鼓動を速め、負担をかけやすいとされています。
暑さのため、のどをうるおしたいと感じる季節ですが、興奮につながりやすいビールやコーヒーは控えめに。ビタミンやクエン酸などが豊富なオレンジジュースやトマトジュース、緑茶などで、からだも心もすっきりと落ち着かせましょう。