Yojo Column
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物想う時間を自分磨きに
秋分は、日の出から日没までの昼と、日没から日の出までの夜の時間が、ほぼ同じ長さになるとき。
ここから次第に夜の方が長くなっていきます。いわし雲やうろこ雲が天高く浮かぶ秋空のもと、さまざまな作物が収穫期へ。「秋の社日」とは、この秋分に最も近い戊の日のこと。実りをもたらしてくれた田の神が山に戻る日として、豊作を感謝する儀式や参拝が各地でとりおこなわれます。人々は昔からこうした行事を通して、秋から冬への変化を身近に感じていたのです。
燃えるような夏が過ぎ、うれしい収穫を迎えながらも、次第に近づいてくる冬。そんな季節の移ろいに、ふと、もの悲しさを覚えるのがひとの心です。どうも気持ちが落ち込みがちで前向きになれない、と思うことがあるかもしれません。そんなときにこそおすすめしたいのが、読書を通して新しい知見を得たり、芸術にふれて感性を磨いたり、運動をして心を整えたりすること。ぜひ、ご自身にあった過ごし方で、心や思考のリフレッシュにつとめましょう。
月の力で、心をメンテナンス
ちなみに、この節気にあたる「中秋の名月」とは、旧暦の8月15日に満ちる月のこと。ちょうど里芋の収穫期に重なることから「芋名月」とも呼ばれ、豊作の感謝を込めて芋をお供えする習わしがあります。ちなみに、満月のことを十五夜といいますが、その前々日にあたるのは十三夜(じゅうさんや)、前日は小望月(こもちつき)。翌日からも十六夜(いざよい)、立待月(たちまちつき)、居待月(いまちづき)、寝待月(ねまちづき)、更待月(ふめまちづき)と、それぞれに呼び方があります。
さらに、十五夜が雲に隠れてみえなければ無月、雨降りなら雨月と呼ぶことも。こうして一夜一夜の月に名前をつけていたことからも、昔の人がいかに月を愛し、生活に取り入れていたかがよくわかります。いまの時代でたとえるなら、月に意識を集中させて瞑想したり、マインドフルネスをめざしたり…といったことかもしれません。
充実した実りがある一方で、センチメンタルな気分も高まるこの時候。読書やアート、月の動きなどに思いをめぐらせ、心を整えることで、やがてくる冬に備えましょう。
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