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よろいかぶとで住まいの厄払い
立夏は、からだが内から動き始めるとき。その動きが活発になることで、脈などに不調を感じることがあるかもしれません。
人によっては、疲れやすさ、めまい、ふらつき、物忘れといった、自身の変化が気になる場合も。気候が良く、まわりの人々が活発に動きだすなかで、「自分だけがついていけない」という焦りを感じやすい時期でもあります。
けれど「がんばろう」と思いつめると、かえってこころもからだも疲れてしまいます。どうか周囲につられることなく、落ち着いて自身と向き合うように。季節の風物を取り入れるなどして、うるおいのある生活を楽しみましょう。
そんな季節行事のひとつ「端午の節句」は、男の子の成長をお祝いする奈良時代からの風習です。鯉のぼりや五月人形を住まいに飾り、柏餅やちまきを食べ、菖蒲湯につかって邪気を落とします。
ちなみに、男の子の出世と健康を願って飾る鯉のぼりは、「鯉の滝登り」という中国の故事から。五月人形は、いにしえの武士たちが梅雨入り前におこなっていた、鎧兜(よろいかぶと)の虫干しに由来しているそうです。戦におもむく武士にとって、鎧兜は自分を守ってくれる神聖なもの。神社への参拝において鎧兜を奉納し、身の安全を祈願することもあったとか。やがて武家屋敷では、厄払いとして塀や門のあたりに、鎧兜や槍、薙刀(なぎなた)などを飾るように。こうした風習を受け継ぐ五月人形には、子どもの健康や成長を願うだけでなく、子の身代わりとして災厄を引き受ける役割もあったようです。
いまでは姿を消しつつある鯉のぼりや五月人形ですが、昔から変わらぬ人々の願いを鯉や兜のモチーフに込めて、住まいに飾ってみるのもよいでしょう。
さまざまな効果が期待される菖蒲湯
また、鯉のぼりや五月人形ほど大がかりでなく、どのご家庭でも楽しみやすいのが菖蒲湯。
「菖蒲=勝負・尚武」という言葉の響きにちなんで、湯船に菖蒲を浮かべて入ります。
その有用性は葉よりも茎の方にあり、精油成分が全身のめぐりをうながして代謝を活性化してくれるとのこと。さらに、油分が肌の乾燥を防いで潤いを与える、香りのリラックス効果で疲れが癒される、殺菌効果を高めて菌の繁殖を抑えるといった、さまざまな効果が期待されます。
立夏とはいえ、まだ身体が冷えやすいこの時期、家族それぞれの健康を願いながらお湯につかり、身もこころもしっかりと温めましょう。
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