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霜降/
寒暖差を、旬の食で乗り越える

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

根菜で体を温め、心も穏やかに

 霜降は10月23日~11月6日の時期で、朝夕にぐっと冷え込み、霜が降りる時期を指します。
 初めは山など標高が高いところから霜が降りますが、次第に平野にも霜がり、冬の始まりを告げるサインとなります。

 なお、この時期は夏の燃え上がる時期から秋の実りの時期を経て、冬に向かう時期であることから、そのギャップにむなしさを感じ、くよくよと悩みがちの時期です。同じことを何度も考えてしまい、前向きに考えられないかもしれません。
 さらに、寒さも日に日に増してくることから循環も悪くなり、身体の冷えもきつく、心と身体のバランスが崩れがちです。そのため、風邪を引いたり、気持ちが落ち込んでうつになったりと、様々な症状が出始めますので、十分注意しましょう。

 この季節の旬はジャガイモやサツマイモなどのイモ類です。ジャガイモやサツマイモは根菜類と呼ばれ、土の中に埋まっています。一般的に、土の中に埋まっている食べ物は身体を温める役割が、土の外になっている食べ物は身体を冷やす役割があります。そのため、ジャガイモやサツマイモは身体を温める作用があるため、この時期にぴったりの食べ物です。
 なお、ジャガイモは甘味で潤いがあるため、胃腸を守る作用がある一方、サツマイモは身体を補う作用があるため、滋養強壮に役立ちます。

秋の生活をサポートする、旬の食材

 一方、落花生は脂質やたんぱく質、食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を抑える作用もあります。特に脂質であるリノール酸とオレイン酸は、血中に含まれる中性脂肪やコレステロールを下げる作用があるほか、落花生はビタミンが豪富であり、その中でもビタミンEは抗酸化作用も高く、血管を丈夫にする作用や、アミノ酸の1つであるアルギンが血行を改善させたり、免疫力を上げる作用があることから、食欲が増しているこの時期の間食としてはとても良い旬の食材です。

 また、この季節の味覚であるいちじくがあります。やさしい甘さのイチジクは、ブドウ糖や果糖が豊富でエネルギー源になるだけでなく、食物繊維も多く、腸内環境を整えてくれます。さらに、ビタミンが豊富で抗酸化作用や美肌効果があることも知られています。その意味で、秋の疲れた身体を癒すには持ってこいの食材です。

 霜降は冬への1歩手前の時期です。心と身体のバランスが崩れ、免疫力が落ちやすく、風邪などを引きやすい時期です。そのため、日ごろから食生活を意識して、身体を整えましょう。